藤波辰巳 対 チャボ・ゲレロ

 昭和のプロレス黄金期において、ジュニアヘビー級の戦線はヘビー級に勝るとも劣らない熱狂をファンに提供していました。その中心にいたのが、アメリカ・ロサンゼルスで強豪としてその名を轟かせていた「チャボ・ゲレロ」と、日本のジュニア界を牽引していた「藤波辰巳(辰爾)」です。

 元々は全日本プロレスのリングで日本デビューを飾ったゲレロですが、新日本プロレスへと主戦場を移したことで、新日ジュニアの至宝を巡る藤波との宿命のライバルストーリーが幕を開けることとなります。スピード、テクニック、そして飽くなき闘志がぶつかり合った両雄の激闘の軌跡を、ここに振り返ります。

 昭和53(1978)年、新日本プロレス「サマー・ファイト・シリーズ」で、藤波辰巳とチャボ・ゲレロの運命の初対決が実現しました。全日本参戦を経てNWA認定アメリカスヘビー級王座を11回獲得したゲレロの実力(最終的には16回獲得)は雑誌でも大きく報じられ、注目の初戦は引き分けに。続くシリーズ中のシングル3番勝負では藤波が3連勝を飾りました。同年10月にはゲレロが藤波の持つWWWF認定ジュニアヘビー級王座に挑戦。大流血の苦戦を乗り越えた藤波が王座を防衛し、翌年1月のサンディエゴでの再戦も両者同時フォールとなりました。その直後にはロサンゼルスで奇跡のタッグを結成してNWA認定アメリカスタッグ王座を奪取するなど、目まぐるしいドラマを展開しました。

 昭和55(1980)年の「第3回MSGシリーズ」でも両者は激突し、予選トーナメントではゲレロが勝利、敗者復活を勝ち上がった藤波と決勝リーグでも対戦。会津若松での本戦では藤波が逆さ押さえ込みで勝利を収めました。同年8月にはニューヨークのシェア・スタジアムで行われた歴史的大興行「ワールド・レスリング・フェスティバル」にて、藤波のWWF認定ジュニアヘビー級王座をかけた4度目の挑戦が実現するも、ゲレロは壁を破れず。その後ゲレロが全日へ移籍したことで接点は一度途切れました。

 しかし平成8(1996)年、「無我」のマットで16年ぶりの再戦が実現し藤波が飛龍裸絞めで勝利。さらに平成19(2007)年、ドラディションでのゲレロの日本引退試合にて藤波が逆さ押さえ込みで勝利を収め、足掛け29年に及ぶライバルストーリーに美しい終止符が打たれました。

[昭和53(1978)年]

サマー・ファイト・シリーズ(新日本プロレス)

 昭和53(1978)年6月23日(金曜日)、埼玉県大宮市/大宮スケートセンター
□シングルマッチ/ノンタイトル(45分1本勝負)
  藤波辰巳(15分20秒、両者リングアウト)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はWWWF認定ジュニアヘビー級王者。

 昭和53(1978)年7月5日(水曜日)、宮城県石巻市/サンエー中里店東側(石巻バイパス)
□シングルマッチ/ノンタイトル(30分1本勝負)
  藤波辰巳(11分12秒、風車固め)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はWWWF認定ジュニアヘビー級王者。

 昭和53(1978)年7月11日(火曜日)、北海道岩内町/岩内町立岩内中央小学校体育館
□シングルマッチ/ノンタイトル(30分1本勝負)
  藤波辰巳(9分59秒、回転足折り固め)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はWWWF認定ジュニアヘビー級王者。

 昭和53(1978)年7月17日(月曜日)、北海道岩見沢市/岩見沢スポーツセンター
□シングルマッチ/ノンタイトル(30分1本勝負)
  藤波辰巳(12分16秒、回転足折り固め)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はWWWF認定ジュニアヘビー級王者。

闘魂シリーズ(新日本プロレス)

 昭和53(1978)年10月20日(金曜日)、大阪府寝屋川市/寝屋川市立市民体育館
□WWWF認定ジュニアヘビー級選手権試合(61分3本勝負)、レフェリー:ミスター高橋
  藤波辰巳(2-1)チャボ・ゲレロ
   ①ゲレロ(12分54秒、高角度前方回転エビ固め)藤波
   ②藤波(4分43秒、体固め)ゲレロ
   ③藤波(3分30秒、アバラ折り)ゲレロ
   ※第3代王者藤波辰巳が10度目の防衛に成功する。

[昭和54(1979)年]

NWAハリウッド・レスリング

 昭和54(1979)年1月23日(火曜日)
 米国/カリフォルニア州サンディエゴ/サンディエゴ・コロシアム
□WWWF認定ジュニアヘビー級選手権試合
  藤波辰巳(同時フォール)チャボ・ゲレロ
   ※第3代王者藤波辰巳が王座防衛に成功する。

[昭和55(1980)年]

第3回MSGシリーズ(新日本プロレス)

 昭和55(1980)年5月3日(土曜日、祝日)、鹿児島県川内市/川内市立体育館
□MSGシリーズ予選トーナメント[Bブロック]2回戦/ノンタイトル(30分1本勝負)
  チャボ・ゲレロ(12分21秒、リングアウト)藤波辰巳
   ※C・ゲレロが決勝リーグ戦進出を決める。藤波辰巳はNWAインターナショナル認定世界&WWF認定ジュニアヘビー級王者。

 昭和55(1980)年5月9日(金曜日)、福岡県福岡市/福岡スポーツセンター
□WWF認定ジュニアヘビー級選手権試合(61分1本勝負)、レフェリー:ミスター高橋
  藤波辰巳(17分50秒、原爆固め)チャボ・ゲレロ
   ※第5代王者藤波辰巳が11度目の防衛に成功する。藤波の保持するNWAインターナショナル認定世界ジュニアヘビー級王座は懸けられていない。

 昭和55(1980)年5月20日(火曜日)、福島県会津若松市/福島県営会津体育館
□MSGシリーズリーグ戦/ノンタイトル(45分1本勝負)
  藤波辰巳(9分46秒、逆さ押さえ込み)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はNWAインターナショナル認定世界&WWF認定ジュニアヘビー級王者。

ワールド・レスリング・フェデレーション[WWF]

 昭和55(1980)年8月9日(土曜日)
 米国/ニューヨーク州ニューヨーク/センチュリー・シェア・スタジアム
□WWF認定ジュニアヘビー級選手権試合(30分1本勝負)、レフェリー:ジョン・スタンリー
  藤波辰巳(10分28秒、回転足折り固め)チャボ・ゲレロ
   ※第5代王者藤波辰巳が14度目の防衛に成功する。

闘魂シリーズ(新日本プロレス)

 昭和55(1980)年10月13日(月曜日)、新潟県上越市/上越市厚生北会館
□シングルマッチ/ノンタイトル(30分1本勝負)
  藤波辰巳(10分36秒、首固め)チャボ・ゲレロ
   ※藤波辰巳はWWF認定ジュニアヘビー級王者。

[平成8(1996)年]

一期一会(無我)

 平成8(1996)年4月6日(土曜日)、岡山県倉敷市/倉敷市水島緑地福田公園体育館
□シングルマッチ(60分1本勝負)
  藤波辰爾(10分49秒、飛龍裸絞め)チャボ・ゲレロ

[平成19(2007)年]

無我2007 M-STAGE~チャボ・ゲレロ日本引退シリーズ~(ドラディション)

 平成19(2007)年4月11日(水曜日)、東京都文京区/後楽園ホール
□チャボ・ゲレロ日本引退試合(60分1本勝負)
  藤波辰爾(9分30秒、逆さ押さえ込み)チャボ・ゲレロ

 昭和50年代の熱いジュニアヘビー級戦線を象徴するふたりの闘いは、団体の垣根や時代の移り変わりを超え、29年もの長きにわたる大河ドラマとなりました。ニューヨークの大観衆を魅了した至高のタイトルマッチから、時を経て互いにベテランとなり「無我」のリングで再会を果たしたエモーショナルな名勝負まで、その絆は特別なものだったと言えます。

 平成19(2007)年、日本での最後の対戦相手として藤波を指名したチャボ・ゲレロ。そして、その想いを真正面から受け止めた藤波辰爾。シングル対決の全記録が物語るように、ふたりが刻んだ足跡は、今もなお色褪せることのない昭和プロレスの至宝としてファンの胸に深く刻まれています。

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