アントニオ猪木 対 吉村道明

 アントニオ猪木と吉村道明は、オールアジアタッグ王者として最多防衛記録を持つ名タッグチームでした。その2人が初めてシングルマッチで拳を交えたのは、猪木のデビューから約20か月後のことです。その後、力道山が逝去する直前のシリーズまでに通算20回対戦しましたが、結果はいずれも吉村の勝ちでした。
 対戦のほとんどは1本勝負形式でしたが、昭和37年6月5日の名古屋大会と、昭和38年9月13日のリキ・パレス大会の2試合だけは3本勝負で行われています。いずれもセミファイナルという重要なポジションに組まれ、特に後者はテレビで生中継されました。若手時代の猪木が、偉大な先輩である吉村を相手にこれだけの好カードを任されていたという事実は、彼が当時からプロレスラーとしていかに破格の才能を持っていたかを示す、何よりの証拠と言えるでしょう。

[昭和37(1962)年]

=第4回ワールド大リーグ戦=

 昭和37年5月13日(日曜日)、和歌山県和歌山市/和歌山市本町公園
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(11分6秒、体固め)猪木完至

 昭和37年5月21日(月曜日)、千葉県茂原市/富士見公園野球場(茂原市営球場)
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(11分0秒、体固め)猪木完至

=プロレス国際選抜戦=

 昭和37年5月29日(火曜日)、千葉県船橋市/千葉県立船橋高等学校南広場
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(11分16秒、体固め)猪木完至

 昭和37年6月5日(火曜日)、愛知県名古屋市/名古屋市金山体育館
□シングルマッチ(45分3本勝負)
  吉村道明(2-0)猪木完至
   ①吉村(13分48秒、ダブルレッグロック)猪木
   ②吉村(4分58秒、体固め)猪木

 1本目は、じっくりとしたグラウンドでの攻防から幕を開けました。吉村は猪木のスピードを警戒しつつ、鋭いネックブリーカードロップを決めてフォールを狙います。しかし、猪木も驚異的なブリッジでこれを回避。そこから吉村は執拗なトーホールドで猪木の足を攻め立て、最後はダブルレッグロックへと移行して見事にギブアップを奪いました。
 続く2本目、吉村は猪木の一瞬の隙を見逃しませんでした。鮮やかなドロップキックを叩き込み、そのまま流れるように体固めでフォール勝ち。吉村がストレートで勝利を収めました。

 昭和37年6月7日(木曜日)、兵庫県尼崎市/尼崎市体育会館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(11分35秒、エビ固め)猪木完至

 昭和37年6月10日(日曜日)、大阪府堺市/堺大浜球場
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(12分27秒、体固め)猪木完至

 昭和37年6月17日(日曜日)、広島県広島市/広島県体育館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(14分58秒、エビ固め)猪木完至

=プロレス国際試合夏の陣=

 昭和37年8月24日(金曜日)、東京都渋谷区/リキ・スポーツ・パレス
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(17分58秒、エビ固め)猪木完至

=プロレス国際試合秋の陣=

 昭和37年9月21日(金曜日)、滋賀県大津市/皇子山体育館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(16分43秒、体固め)猪木完至

 昭和37年9月28日(金曜日)、青森県八戸市/八戸市営第二魚市場
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(14分12秒、エビ固め)猪木完至

[昭和38(1963)年]

=プロレス国際試合新春シリーズ= 

 昭和38年1月20日(日曜日)、茨城県水戸市/堀原運動公園体育館(茨城県営体育館)
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(14分22秒、エビ固め)アントニオ猪木

=東京オリンピック協賛、第5回ワールド大リーグ戦=

 昭和38年4月20日(土曜日)、福岡県北九州市/北九州市立小倉体育館
□シングルマッチ(20分1本勝負)
  吉村道明(14分20秒、体固め)アントニオ猪木

 昭和38年4月28日(日曜日)、福井県福井市/福井市体育館
□シングルマッチ(20分1本勝負)
  吉村道明(19分7秒、エビ固め)アントニオ猪木

=プロレス国際戦・続夏の陣=

 昭和38年9月13日(金曜日)、東京都渋谷区/リキ・スポーツ・パレス
□シングルマッチ(45分3本勝負)
  吉村道明(2-1)アントニオ猪木
   ①吉村(15分58秒、逆片エビ固め)猪木
   ②猪木(5分44秒、体固め)吉村
   ③吉村(5分17秒、逆さ押さえ込み)猪木

 セミファイナルとしてテレビ生中継も行われた注目の一戦。1本目は吉村が猛攻を仕掛け、猪木のスピードが鈍った瞬間を逃さずドロップキックを炸裂させます。そこから一気に逆片エビ固め(ハーフボストンクラブ)へと捕らえ、ギブアップを奪いました。
 後がない猪木も2本目に反撃へ転じます。強烈なネックブリーカードロップを3連発で叩き込み、吉村をノックアウトしてタイに持ち込みました。
 運命の3本目、猪木のパンチを浴びた吉村が左目周辺をカットして激しく流血。勝機と見た猪木はネックブリーカーから、首投げを2度、3度と連発して追い詰めます。しかし、吉村は一瞬の隙を見逃しませんでした。背後から電光石火の逆フルネルソンに捉えると、そのまま流れるように逆さ押さえ込みへと移行。執念のフォール勝ちを収め、大熱戦に終止符を打ちました。

=オリンピック協賛、秋季ワールド戦=

 昭和38年9月26日(水曜日)、山形県鶴岡市/鶴岡市体育館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(11分35秒、逆片エビ固め)アントニオ猪木

 昭和38年10月26日(土曜日)、鹿児島県鹿児島市/鹿児島県体育館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(20分20秒、エビ固め)アントニオ猪木

 昭和38年11月4日(月曜日)、広島県広島市/広島県立体育館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(15分48秒、逆エビ固め)アントニオ猪木

 昭和38年11月7日(木曜日)、京都府京都市/京都市円山公園音楽堂
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(12分17秒、片エビ固め)アントニオ猪木

=プロレス・デストロイヤー・シリーズ=

 昭和38年11月29日(金曜日)、東京都渋谷区/リキ・スポーツ・パレス
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(17分51秒、エビ固め)アントニオ猪木

 昭和38年12月4日(水曜日)、大阪府大阪市/大阪府立体育会館
□シングルマッチ(30分1本勝負)
  吉村道明(15分5秒、首固め)アントニオ猪木

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